東レの元社長が書いた仕事と人生の心構えを書いた本だ。実際、お説教くさい、訓戒めいたものが多いのだが、社会人となり、ビジネス界で成長してゆく甥に話しかけるという形で書かれているため、文章に愛情が感じられ、とても読みやすい。また、長男の自閉症、妻の闘病、うつ病に自殺未遂、という著者の経歴が語られるにつれ、言葉の深みに感銘を受けずにはいられなくなる。
この作者が、これを文字として残してくれて良かったと思う。こうした訓戒めいたものは、時によって全く受け付けなかったりする。しかし、先人の教えを受けたいという謙虚な気持ちになったとき、手を伸ばせば本としてある。そして、その時にはすんなりと言葉が頭に、心に染み込んで来るのだ。
たくさんのいい言葉があった。その中で、私のお気に入りを紹介したい。
- 人は、人間として成長するために働くのだ
- 誰も、自分の人生を傷つける人など大事にはしません。人は自分を大事にしてくれる人を大事にするのです。君が自分を大切にしたければ、まず相手を尊重すること―― これこそ「人生の原理」なのです。
- 自立した人間とは、自分の力で環境を変えていこうとする人間なのです。
- がんばる人、努力する人が、最後の最後まで不遇などということはほとんどないですよ。志があって、周りの人を大事にしていれば、必ず誰かがそれを見ているのです。・・・本流から、ちょっと外れた道を歩むくらいがいいのです。逆風の場こそ、君を鍛えてくれるのです。
さらっと読めるので、ビジネスマンには一読の価値あり。
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