2014年4月28日月曜日

働く君に贈る25の言葉(佐々木常夫)


東レの元社長が書いた仕事と人生の心構えを書いた本だ。実際、お説教くさい、訓戒めいたものが多いのだが、社会人となり、ビジネス界で成長してゆく甥に話しかけるという形で書かれているため、文章に愛情が感じられ、とても読みやすい。また、長男の自閉症、妻の闘病、うつ病に自殺未遂、という著者の経歴が語られるにつれ、言葉の深みに感銘を受けずにはいられなくなる。

この作者が、これを文字として残してくれて良かったと思う。こうした訓戒めいたものは、時によって全く受け付けなかったりする。しかし、先人の教えを受けたいという謙虚な気持ちになったとき、手を伸ばせば本としてある。そして、その時にはすんなりと言葉が頭に、心に染み込んで来るのだ。

たくさんのいい言葉があった。その中で、私のお気に入りを紹介したい。

  • は、人間として成長するために働くのだ
  •  誰も、自分の人生を傷つける人など大事にはしません。人は自分を大事にしてくれる人を大事にするのです。君が自分を大切にしたければ、まず相手を尊重すること―― これこそ「人生の原理」なのです。
  • 自立した人間とは、自分の力で環境を変えていこうとする人間なのです。
  • がんばる人、努力する人が、最後の最後まで不遇などということはほとんどないですよ。志があって、周りの人を大事にしていれば、必ず誰かがそれを見ているのです。・・・本流から、ちょっと外れた道を歩むくらいがいいのです。逆風の場こそ、君を鍛えてくれるのです。

さらっと読めるので、ビジネスマンには一読の価値あり。
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2014年4月25日金曜日

世界一受けたいお金の授業(和仁達也)




経営コンサルタントの著者が、高校生向けにやった経済の授業を本にしたもの。その授業については、著者がある女子高の校長に「生徒の予測不能な質問を通して、お金儲けの本質がわかり、ひいては、やりたいことを追求する、充実した人生を送る勇気がわいてくるような、いままでにない授業をしたいのです」と持ちかけたらしい。

実際、とてもわかりやすく、さらりと読める。私のように、普段経済に全く興味を持たない人間でも楽しめる。しかし、この本は決して、お金の運用方法を教える、というものではない。ローンや保険の選び方、使い方や家計の切り盛りの仕方は教えてくれないし、社会の経済構造を紐解くものでもない。ただ、経済というものの見方、お金儲け(ビジネス)の本質を教えてくれる。

お金で人生に失敗しないための哲学のようなものもちらほら見受けられる。私が本書からの一番の教訓として学んだのは、「お金を使っていいものは、将来「リターン」が見込めそうなもの、人との縁をつくり深めるもの」だ。確かにお金の賢い使い方と言えるだろう。
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