20代の男女の恋愛を描いた短編集。どこかの街角で起こっていそうな恋愛物語の一場面を切り取った、そんな感じだ。ひどくありきたりのようで、ひとつひとつが特別、そんな恋愛。皆出会いがあり、喜びがあり、悩みがあり、別れがある。石田衣良の恋愛作品では、「美丘」を読んだが、こちらのほうが、普通っぽいが、わざとらしさがなくて自然でいい。
その中でも好きだったのが、ローマンホリデイという話。「わたしと『ローマの休日』をしませんか?」という書き込みに始まったインターネットでのやりとり。メール相手のやさしい気づかいに魅かれて、会うことを希望すると、相手は孫娘の名前を使っていた、72歳の寝たきりのおばあさんだった・・・。
この短編集の作品は、どれもあたたかい。現実の恋愛はもっとシビアなような気がするが、やはり短編では、後味がよいものがいい。やっぱり人に恋するというのは素敵だ、と思わせてくれるような短編集だった。
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