2013年5月9日木曜日

インドネシアの牛乳と化学物質



よく牛乳を買う。今日も買った。コーヒーにも紅茶にも必ずミルクを入れる私にとって、牛乳は必需品だ。そして、牛乳は万国共通だ、と思っていたが実はそうでもない。同じ牛乳でも、実は中身は結構違う。

初めてインドネシアのスーパーで牛乳を買ったとき、不思議なことに気がついた。パックの牛乳が冷蔵庫ではなく、普通の商品と同じように棚に並べて置かれている。これでは早くだめになってしまうではないか。しかし賞味期限をチェックして見たら、半年以上先だ。日本では1、2週間しかもたない牛乳が、なぜインドネシアでは数ヶ月ももつのか。しかし、大きなスーパーに行けば、ちゃんと冷蔵庫で冷やされている牛乳もある。こちらのほうは賞味期限は日本の牛乳ほどではないがかなり短く、しかし値段はかなり高めだ。一体何なのだろう、と思った。

この疑問を友人に話すと呆れられた。「ねえ、保存料って言葉知ってる?」と。つまり冷蔵なしで棚に並べられている安い牛乳たちは保存料たっぷりで無理やり長くもつようになっているのだ。冷蔵庫にしまわれている高めの牛乳は比較的自然なままなので、長くもたない。

インターネットで調べてみると、最近では保存料を使わずに牛乳を長持ちさせるハイテクな殺菌技術が使われているとか。安くて長持ちするインドネシアの牛乳はもしかして、保存料じゃなく、この技術のなせる業ではないのか、と希望的推測を述べると、また馬鹿にされた。「あのねえ、この数ヶ月もする牛乳の賞味期限はずっと昔からだよ」と。はあ、そうですか。

日本ではきっと化学物質の使用の制限が設けられているので、保存料の使用も限られているはずだ。しかし、インドネシアでは制限があるのかないのか、使いたい放題。恐ろしい。いつだったか欧米で、生前口にした保存料のせいで埋葬された遺体が腐りにくくなっている、ということを聞いたことがあるが、インドネシアでは体に蓄積される化学物質の量はその比ではないのではないだろうか。(しかし、埋葬された遺体が腐りにくくなっているだなんて、どうやってわかるのだろう。)

日本では、厚生省が健康を害するいろいろな物質の使用を制限してくれているが、インドネシアではどうなっているのか、全く知らない。しかし、日本よりも遅れていることは事実だろう。

2、3年前、とあるプロジェクトで小屋を建てることになった。購入すべき材料のリストを見て驚いた。屋根の材料にアスベストが使われることになっていた。仰天してアスベストの危険さを力説したのだが、そこにいたインドネシア人は皆何のこっちゃ、という顔をしていた。どうやら、インドネシアではアスベストの危険性は一般的には知られていないらしい。アスベストは安く、簡単に手に入るので未だにどこでも使われている。知りたくなかったかもしれない。

インドネシアの安全衛生は信用できない。賞味期限だって、もちろんチェックするに越したことはないが、丸呑みにしないほうがいい。賞味期限が2週間先の卵を買い、割ってみればほぼ全部腐りかけ、ということもあった。数ヶ月賞味期限がある牛乳を買っても、開封後はすぐだめになる。この国では、パッケージよりも自分の舌と感覚のほうが頼りになる。もちろん、それは普段から磨いておかなくては意味がないが。くれぐれもお気をつけあれ。


今日買った牛乳。賞味期限は2014年1月20日。

4 件のコメント:

  1. こんばんは

    バリ島に居た時に、いつも牛乳を買っている日本人に同じようなことを
    聞かれたことがあるので、こちらにコメントさせて頂きます。

    確かに、過去にいくつか日持ちするために、食品に「ホウ砂」や「ホルマリン」など、食品用の添加物ではない保存料を使ったりする悪質商法の事件がありましたが、そのようなことをやっている人は未だに居ると思います。

    しかし、何故インドネシアの牛乳が冷蔵庫に入れずに、普通の棚に並べて置かれているだろうという質問には、その答えは多くのインドネシアの牛乳メーカーは、「UHT法」を使っているからのです。

    UHT法というのは(Ultra high temperature heating method)の略なんですが、つまり日本語で言うと「超高温加熱処理法」のことです。

    沸点100℃前後の牛乳に150気圧の高圧をかけて、
    120~130℃で2秒間加熱し、細菌を完全に死滅させる方法ですが、
    この方法によって、保存料を使わずに、冷蔵庫に入れずに未開封の牛乳が6ヶ月間も日持ちすることが可能になります。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/超高温加熱処理法
    http://d.hatena.ne.jp/wwwkurashijp/20070814/1187062945
    http://www.ultrajaya.co.id/customerservice/faq/?ver=ind&vID=1

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    1. 林さん、コメントどうもありがとうございます。長い間返事ができなくてすみません。
      そうですか。少し賢くなりました。でも、ウィキペディアの「牛乳」のページで、UHT滅菌法だと未開封の状態で長期間(3ヶ月間程度)常温保存可能とあるのですが、6ヶ月はちょっと長すぎではないでしょうか・・・?まあ、別にいいんですけど。
      http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9B%E4%B9%B3#.E6.AE.BA.E8.8F.8C

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  2. お久しぶりです。
    UHTの賞味期限について、確かに、
    ウィキペディアではUHTの賞味期限は(3ヶ月間程度)と書いてあります。

    UHTの賞味期限について、正確なのは詳しくは知りませんが、
    保存法や牛乳のパッケージ容器(アルミ缶や紙パック等の使用)によって、
    賞味期限が異なる可能性があると思います。

    ちなみに、私が参考にした記事は下記のブログに書いてありますが、
    滅菌パックに無菌充填して6ヶ月から1年日持ちさせると書いてあります。

    そして、豆知識なんですが、思い出したのがありまして、
    アイスクリームには賞味期限が書かれていません。

    http://d.hatena.ne.jp/wwwkurashijp/20070814/1187062945

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    1. 更なる情報、どうもありがとうございました。勉強になります。アイスクリームに賞味期限がないのは謎ですね。乳製品なのに・・・。凍っているから雑菌は繁殖しないのでしょうか?

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