2013年9月14日土曜日

体内時計+(寺島しのぶ)



芸能人なんて興味はないし、有名人のエッセイなど読むタイプではないのだが、家にあったので読んでみた。2003年に雑誌に掲載されたエッセイを2008年に加筆修正したものとあるので、実際に書かれたのは10年も前らしい。しかし、その10年というのが、著者がちょうど私と同じくらいの年齢の時で、親近感をもった。仕事に恋愛、結婚とやっぱり揺れる年齢なんだな、と。

庶民の私からすれば、歌舞伎家系の芸能人一家の生活なんて想像もつかないが、セレブ一家で育ったならではの悩みもある。女の子が歓迎されない梨園に生まれ、愛されていないと思い、憧れの女優を目指すも、親の七光りとは言われたくない。母の美貌にもコンプレックスをもち、自分の力で女優としてのキャリアを創り上げようとする。

エッセイには良く見られようとする心理が少なからず働くというので、どこまで真実で本心かはわからないが、それでも格好いいとおもう。セレブ一家に生まれたことは、一長一短があるだろう。コンプレックスからつぶれてしまう人もいるが、いい所だってたくさんあるのだから、うらみつらみばかり聞く気にはなれない。しかし、コンプレックスをばねに頑張る人は好きだ。いい育ちのお嬢さんながらも、色っぽい映画も真っ向から立ち向かうなど、潔い。

女優として美貌には恵まれなかったとあるが、中年以上になれば、もとの顔立ちより、いかに経験を積んできたか、人生を歩いてきたかのほうが重要になる。この本を読んだことで、テレビや映画などでこの女優を見るのが楽しみになりそうだ。

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