2014年3月17日月曜日

ファースト・プライオリティー(山本文緒)



31歳の女性の生活を描いたショートショート。どれも10ページほどしかなく、余りにも短いので、起承転結はあまりなく、ただその女性の生活が描かれる。OL、子持ち、恋愛ニート、主婦、不倫。様々な31歳の女性がいる。特別ストーリーはないのだが、同じアラサーの私としてはなかなか興味深かった。

どれも、本人にとっては当たり前の日常。しかし、その生活、人生の何と違うことか。私の人生だって他の人から見れば相当変わっているのだろう。

なぜ31歳なのだろう。30歳ひとつの節目だ。ただ、大台に乗るときよりも、大台に乗って少ししてからのほうがその意味が一層感じられる。私がそうだった。30を越えたときはそれなりに誇りに思ったものだったが、少しして、30代という年齢の社会的認識に気づかされた。もう遊んでいてはいけない。腰を落ち着けなきゃいけない。若いから、では通用しない。

いろいろな立場の31歳が描かれていてなかなか興味深かったが、結局、皆何かしら自分なりの悩みや迷いをもっている。どんな選択をして、どんな人生を歩んでも。今まである程度築き上げたものを振り返り、立ち止まり、このままでいいのか、これからどうしたらいいかを考える。31歳というのは結局そんな年齢なのかもしれない。
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