2014年7月2日水曜日

ビッグツリー(佐々木常夫)



「私は仕事も家族も決してあきらめない」という副題に惹かれて手にとったこの本。自閉症の息子、うつ病で入退院、挙句は自殺を繰り返す妻の面倒を見ながら、仕事も一流を極めた東レの取締役の実録だ。家族の出来事を中心に淡々と書いているが、家族を支え続けたその経歴はすごいなあ、というしかない。専業主婦を妻にもち、家庭のことは何一つやらずにビジネスのやり方を唱える経営者には嫌悪感を感じるが、家庭での苦労に裏打ちされた、この人の、ワークライフバランスの考えには共鳴せざるを得ない。

本題からはそれるかもしれないが、女性の活躍の場を作ることに関して、「自分の家庭のマネジメントができない男性に会社の中でだけ女性を活用せよというのは無理な話である」というのは、もっともだと思った。自分は仕事中心で、女性には仕事も家庭もと求めるのは理不尽だ。しかし、こういう経営者も出てくるのだから、時代は変わりつつあると希望をもってもいいかもしれない。
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