2014年7月15日火曜日

神様からひと言(荻原浩)



初めて読んだ荻原浩。なかなかよかった。勤めていた会社をクビになり、長年同棲した彼女に逃げられ、再就職先はトンデモ企業。さらにそこで問題を起こし、リストラ要員収容所とされる「お客様相談所」へ異動。人の罵倒を受け、平謝りするのが仕事となる。

冴えない若手サラリーマンのトホホ小説かと思いきや、なかなか読後感がよかった。コメディ調で、現実ではここまでユニークな人も大げさな状況もお目にかからないだろうが、上司への追従・おべっか、隠蔽体質、能無しの上司、理不尽な処遇など、サラリーマンなら共感するところも多いのではないだろうか。(幸い私はあまり実感をもって共感はできなかったが。)

読後感がいいのは、この主人公が最後まで諦めないことだろう。そして、悲惨な状況でも、何かしら学び取って、「何とでもなる」という境地に至る。何が大切なのか、なぜ彼女は逃げたのか、自分なりに答えを見つけ、活路を見出す。人生悪いことばかりじゃない、そんなことを示してくれるかのようだ。


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