2014年7月26日土曜日

さよなら、こんにちは(荻原浩)



日常生活の場面場面をユーモアを効かせて切り取った、短編集。その視点やユーモアの効いた文体も、奥田英朗によく似ているな、と思った。特に、奥田英朗の「家日和」に。個性を競う作家にとっては別の作家に似ている、などというのは至極失礼なことかもしれないが。

娘の誕生の幸せをかみしめる葬儀屋、スローフードの料理研究家の多忙、それに寺の住職のクリスマス。職業的義務と一般人としての幸せのちょっとした矛盾のおかしみが描かれた作品や、思い込みからうっかり罠にはまる人々の話など7話が収められている。人生悲喜こもごも、悲しみの中におかしみが、喜びの中に皮肉がある。どの話でも、愚かさも含めて、人間が可愛く、愛おしく思えるような作品で、なかなか楽しめた。一読の価値アリかもしれない。

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