バリでこの頃、犬救済を呼びかけるポスターをよく見かける。しかも、どうやらキャンペーンをしている団体はひとつではないようだ。
バリには野良犬が多い。どこからエサをもらってはいるのだろうが、かといって飼われている訳でもない犬たちだ。やはり野良なので手入れがされておらず、不潔で皮膚病を患っているようなのも多い。躾をされていないので道を通る人全てに吼えかかるようなのもいる。かなりの犬好きを自称する私でも、正直に言ってそんなバリの犬たちはあまり可愛く思わない。しかし何と言っても怖いのは狂犬病だろう。ワクチンや抗生物質で防ぎようはあるものの、発症したら致死率100%だ。バリでは毎年数件ではあるが、狂犬病(とその死亡例)が報告されている。日本でなら可愛い犬を見かければすぐに寄って行って触らせてもらう私だが、バリではそんな危険を冒してまでバリの犬を可愛がろうという気にはならない。犬と見るとしっしっと追い払う人も多く、バリでは結構な厄介者だ。
ところで、インドネシアでも、ジャワ島やスマトラ島にはバリほど犬がいない。これには実は理由がある。バリ人は主にヒンズー教だが、ジャワやスマトラでは圧倒的にイスラム教徒が多い。イスラム教では犬は不浄のものとされ、触ってはいけないことになっている。もし触ってしまうと、5回も体を清めなくてはいけないのだ。職場で、ジャワ島などから新しくイスラム教徒のスタッフが入ると、皆バリには犬が多い、と口々に言う。そして特に女性は、犬の姿を見ただけで怖がり、他の人の影に隠れようとする。若い女の子ならまだ可愛げもあるかもしれないが、いい歳をしたおばさんまでそんな調子だ。バリの犬がそこまで可愛くなくても、こうした犬の待遇には、かなり同情していた私だった。
バリの犬を健康に、安全に、見栄えよくしようというキャンペーン、大賛成。ささやかながら応援しようと、サヌールの目抜き通りJalan
Tambulingan にある、Bali Animal
Welfare Association (BAWA)でTシャツを購入。Tシャツとしてはかなり高めだったが(約2,500円)、なかなかしゃれたデザインだ。早速使っている。
BAWAで買ったTシャツ。 なかなかしゃれたデザインだ。 |
ちなみに私はこの手のキャンペーンは賛同すれば多少高くても品物を買ってゆくタイプなのだが、それには条件がある。デザインや質が良いということだ。いくらキャンペーンの趣旨に賛同しても、使いたくないものは買いたくない。多少値段が高くても実際使えるような、デザイン性があり、質の高いものを作ってほしいと思う。例えば、私が愛用している布製のトートバッグは、タイで買った、国連麻薬・犯罪事務所のプロジェクトの製品だ。麻薬生産に収入を頼っていた村で、代わりに現金収入となる産業を開発しようと始められたプロジェクトの成果だ。こうした製品は多少高くても、使っているだけで何となく気分がよくなるので得した気分になるのだが、そんなに単純なのは私だけだろうか。
こうしたキャンペーンが少しずつでも成果を挙げて、多くの犬たちが救われることを期待したい。
プロジェクトの詳細:
Bali Dog Adoption and Rehabilitation Center (BARC): http://balidogrefuge.com/
Bali Animal Welfare Association: http://www.bawabali.com/
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住宅地に住んでいるとは言え、出入りするイスラム教徒が多いから、
返信削除犬を散歩に連れて行くのに、時間を選ばなきゃいけない。
私にとって散歩に連れて行く時間帯は一番いいのが、人気のない朝4時頃ですが、怖がられるのが嫌だから、仕方ないと思います。
林谷峯さん、コメントありがとうございます!またこの拙いブログを訪ねていただいて、とてもうれしいです。
削除やはりインドネシアの愛犬家は人知れない苦労があるのですね。犬はもともと夜行性だから夜の散歩もいいのかもしれませんが、私だったらやっぱり広い野原でのびのびと遊ばせあげたい(というか一緒に遊びたい)と思うでしょう。
それにしても、午前4時ですか。私は絶対に起きていることのない時間ですが、そこまでの愛犬家精神に敬意を払います。