2013年4月5日金曜日

バリ バイク事情



インドネシアにはバイクが多い。特にバリでは公共交通が発達していないこともあり、庶民の足となっている。自動車よりも格段に安いし、場所もとらない。年中温暖で、日本のように極端に蒸し暑い夏や、凍えるような冬もない気候もバイクには最適だ。多少暑くてもバイクにのって風をきれば快適そのもの。雨季も突然の雨に降られる時だけは、やはり自動車のほうがいいが、雨季といえども常に降っているわけではないので、タイミングをみればいい。

しかし何よりバイクがその本領を発揮するのは渋滞の時だろう。バリではジャカルタほどの渋滞はないが、それでも主要道路では渋滞が頻発する。クタ、レギャン、スミニャックといった繁華街に近づこうとすると渋滞は免れないし、デンパサールのJalan Imam Bonjol, Jalan Teuku Umarといった主要道路でも 渋滞は毎日のことだ。その渋滞の中、自動車の間をすいーすいーとすり抜けられるのはバイクの最大の強みだ。それになんていったって、南国の風を切ってバイクを走らせる快感は自動車とは比べ物にならない。

私がバイクに乗り始めたのは、インドネシアに来てからだった。それまでは後ろに乗ることすら多少怖い、危険な乗り物と感じていた。しかし、ここには公共交通がない。それに、せっかくバリにいるのなら、いろいろあちこちに行ってみたい。バイクに乗ろうと決心したが、日本のように自動車学校があるわけでもない。観光客向けの、貸しバイクはあるが、劣悪な質ものものも交じっているらしく、壊れかけのものを貸し、動かなくなって文句を言えば壊したと難癖をつけられ、お金を取られることもあるという。そんなことになったらたまらないし、何より壊れかけのバイクなんて危ないではないか。結局、約15万円で無難に一番普及しているブランドの新品のスクーターを買ったが、買った時点ではどうやって動かしてよいかも知らなかった。もちろん、免許証などない。

バイクの運転練習はほぼぶっつけ本番だった。まずは小さな道で練習、と思っても、バリの小さな道は舗装されていなかったり、メンテナンスが悪かったりで、かえって運転が難しい。アメリカならば広い駐車場で練習、というのが一般的だが、そんな駐車場もない。結局、ぶっつけ本番で慣れていくしかないのだ。

日本人なら、まず、「免許は?」と聞くだろう。しかし、こちらはそれも大雑把である。それでもさすがに私も日本人なので、バイクを買ったばかりの時に、取りに行った。さすがにバイクの免許を初めて取るのにバイクを乗り付けて行ってはまずいだろうと、バイクタクシーで行ったのだが、無用の心配だった。

まず、テストがなかった。私のパスポートと一緒に国際免許証を提出すると、それでバイクの免許がもらえた。ちなみにその国際免許証、普通自動車用のもので、二輪とは書かれていない。しかもその当時既に期限切れだった。一応指摘したのだが、構わないと言われた。40万ルピア(4000)を払い、1ヶ月有効の免許がもらえた。当時私は最高60日間しかインドネシア国内に滞在できないビジネスビザしか持っていなかったため、それ以上の期間は無理だったらしい。しかし、免許を取るために半日仕事を休んだのだが、その許可をもらう際、インドネシア人の上司には「何でそんなもの必要なの?」と真顔で聞かれた。ちなみに、その上司もバイク通勤であった。

1ヶ月しか有効でない免許証を毎月更新に行く時間は私はなかった。また、誰も気にしない規則を何で私だけが馬鹿正直に守らなくてはいけないのだと開き直る気持ちもあり、私は長いこと免許を更新に行かなかった。そしてそのつけは検問のたびに払わされた。

こちらの警察は、ことあるごとに検問を行う。特に、ルバラン(イスラム教の断食明けの休暇)、ニュピ(バリのヒンズー教の新年)などの祭日の前に多い。これは単に警察官が出費の多い祭日の前に小遣いを稼ぐためだ。割と交通が多く、幅の広い道路で片っ端からバイクを止めて、免許をチェックしてゆく。大抵車は対象外だ。そして有効な免許を持っていないと、罰金を要求する。これに、3,4ヶ月に一度は引っかかった。要求される罰金は大抵10万ルピア(1000円)程度。最高25万ルピア(2,500円)ということもあった。大した額じゃないじゃないかと思うかもしれないが、インドネシアでは大した額である。一般的に3万ルピア(300)あれば立派なランチが食べられる。知人によると、捕まったらごねたりせず、さっとお金を渡したほうが賢明とか。ごねたらごねただけ値段が上がるらしい。

検問がよく行われる場所は、Jalan Raya Puputan, Jalan Raya Professor Mohammad Yamin, Bypass Ngurah Rai、サヌールのJalan Danau Tamblinganのバリ・ハイヤットの前などだ。どれも、広めで交通量は多いが、多少バイクを止めても交通渋滞を起こす恐れがない道路だ。そして、手前で検問が見えても、脇道にそれることができないというのも共通している。大型連休の前は、こうした通りは避け、小さな通りを通ったほうが無難だ。しかし、いつもそれを忘れ、捕まってから後悔することが多かった。

一度検問に捕まってから、少し離れたところでどのくらいの人が捕まるものかと観察していたことがある。いやあ、捕まる捕まる。私だけじゃないのね。ほっとするのと同時に、苦笑いをせざるを得ない。これじゃあ確かに警察もいい小遣い稼ぎになるだろう。現在は1年有効な免許を手にいれ、検問を恐れることもなくなったのだが、それでも未だに連休前は大きな道を避けている私である。だって面倒くさいんだもん。

サヌール、Danau Tamblingan通り、バリ・ハイヤットホテル前での検問。


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