2013年7月20日土曜日

野心のすすめ(林真理子)



要約すれば、「少年よ、大志を抱け!」とか、「夢は大きくもて!」という、ありふれたメッセージだ。普遍的だが、今の社会ではどうも陳腐と思われがちだ。しかし、ゼロから始めて何でもやってのし上がった作者の若い頃の話がいろいろ盛り込まれていて面白く、なかなか説得力もある。

どうやら作者、林真理子は若い頃、テレビに出たりかなり派手なことをやっていたらしいが、私の年代でそれを知っている人はあまりいないのではないかと思う。割と本を読んでいる部類に入る(と思う)私も、あまり林真理子の本は読んだことない。話題になった「下流の宴」は読んでみたいと思っているが。
 
しかしこの本に描かれていた、作者の若い頃のないないぶり、そこからいかにのし上がったという話はなかなか興味深かった。この作者程ではないが、私も野心がある人間の部類に入るだろう。そして、昔見ていた夢は実際に叶えてきた。しかし、私はこの作者のように、何もないところから始めたわけではないので、こういう、自分の成功をゼロから築いてきた人には、やはり感心してしまう。私はやりたいことをするお金もない、という状況に置かれたことはない。この、わき目もふらず、恥もかなぐりすてて全てをかけて突き進んできた作者のハングリー精神には圧倒されてしまう。

30を過ぎ、いろいろな人に出会い、人それぞれの人生、その人なりの「成功」を手にできるかどうかは、才能や頭のよさよりも、意志や本人の自覚をもった生き方ができるかどうかのほうが大きいことがわかってきた。この本で「野心」と作者は呼んでいるが、もっと一般的な言葉を使えば、単純に夢ということだろう。自分の夢をいかに自覚し、具体化し、それに向かって突き進んでいくか、改めて考えさせられた。ある程度昔の夢は叶った今、これから先の未来の夢を描く必要がありそうだ。
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