2013年8月19日月曜日

乙女なげやり(三浦しをん)



以前、この作者の直木賞受賞作「まほろ駅前多田便利軒」を読んで、どうも漫画っぽいな、と思ったのだが、あながち間違いではなかったらしい。このエッセイ集では、筆者のオタク的生態および妄想がつぶさに描かれている。つぶさに、と言っても、林真理子が以前どこかで書いていたことだが、むしろ小説のほうがエッセイよりも自分が出るらしい。しかしどれだけ面白く脚色・誇張されているかは知らないが、文章の端々からオタク臭がプンプン臭ってくる。私自身もかなりの漫画好きなため、漫画にはまった自堕落な生活は私も経験ありで共感できるのだが、しかしこの作者はどうやら私の比ではなさそうだ。大したことのない日常をエンタータイメントに変える、素晴らしい妄想の数々。そしてどうしたらこんな突飛な表現ができるんだという文章表現。さすが作家だ。しかし、漫画ばかり読んでいてどうしてこんな文章が書けるようになるのか、謎だ。やはりエッセイに書くのは格好悪いヘタレな部分だけで、実際はやはり、まともな本や文学もたくさん読んでいるのだろう。

このエッセイ、読んでよかった、というものではなかったが、オタク・腐女子の生態を知りたい方にはいいかもしれない。

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