2014年1月11日土曜日

シンシン(山口洋子)

知らない作家を開拓したいと思い、読んでみたこの本。短編集なので読みやすかったが、私には少々早かったかもしれない。というのは、視点が40代、50代の話が多いのだ。やはり読者として一番楽しめ、共感できるのは、同世代の視点で描かれたものが多い。これは、あと10年位して読めばちょうどいいかもしれない。

話はなかなか円熟したセクシーなものが多かった。それもそのはず、この作者は若い頃女優を目指し断念、銀座でクラブを営業していたらしい。なるほど、男女の機微や性を描くのはさすがその道のプロ、といった感じだ。

作家というのは本当にいろいろな道を辿ってきた人がいるものだなあと思う。医者から作家となった渡辺淳一、元新聞記者で取材が綿密な山崎豊子や井上靖、銀座のクラブのママをやっていたこの作者、自衛隊など紆余曲折を経てやっと芽が出た浅田次郎。みんなちがって、みんないい。作家というのは本当に人生全てが糧になる職業なのだ。

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