霊感鋭いお初が活躍する時代物ミステリー、霊験お初捕物控の第一弾。宮部みゆきは好きだし、時代物もどれもいい味だしているので、期待して読んだのだが、少々期待はずれだった。エンターテイメントとしては普通に楽しめるが、つじつまがあっているような、あっていないような感じで、読後あまりすっきりしない。ミステリーだが、お初の霊感で話が進んでいくので、推理モノとは言えないだろう。
モチーフになったのは、実際の江戸時代の雑談録的な文書、「耳袋」だ。忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹したところに置かれた岩が鳴動するというのである。お初が霊能力を以って近所で起きた死人憑き騒ぎや殺人事件を調べていくうちに、百年前に起きた忠臣蔵と結びついてゆく、という運びである。
思いつきは面白いのだが、どうしても話の運びに無理があると思うのは私だけだろうか。もちろん、フィクションなので仕方ないとも言えるが。百年前に時代の犠牲者として運命に翻弄されて死んだ者の霊魂が舞い戻ったとして、なぜわざわざ2人の子供を殺すのか。それに先立ち、その妻の霊魂がずっと前に蘇って、その子孫に取り付いたのはなぜか、訳がわからない。作者も、その妄執の所以を一生懸命説明してつじつまをあわせようとしてはいるのだが、どうもこじつけの感は否めなかった。
宮部みゆきもたくさん書いているから、ひとつひとつの質にそこまでこだわることができないのかな・・・というのが正直な感想だ。
宮部みゆきもたくさん書いているから、ひとつひとつの質にそこまでこだわることができないのかな・・・というのが正直な感想だ。
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