2014年1月25日土曜日

食物アレルギー人間の嘆き in バリ



この一週間、イベントでホテルに滞在していた。組織内の恒例のイベントだが、さすがにバリだけあって、リゾートホテルで催される。この時ばかりは仕事とはいえ開放的な気分になり、お祭りムードが漂う。私も毎年楽しみにしているのだが、今年は思わぬ落とし穴があった。

1日目の昼、ビュッフェ形式のランチで皆にならい、料理をお皿に取ろうと列に並んでいたところ、ホテルの従業員がラップされたトレイを運んできた。2,3人分はあろうかという量である。「グルテンフリー?」と聞かれて、理解した。私の小麦アレルギーはあらかじめホテルに連絡されており、わざわざ気を遣って別に料理を用意してくれたのだ。

その気遣いはありがたい。大変ありがたいのだが・・・しかし、正直言ってありがた迷惑だった。遠路はるばる外国から来た多くの参加者を差し置いて、私だけ特別扱い。ものすごく肩身が狭い。組織の上層部や取引先という、本物のゲストもいたというのに。そして、1人では絶対に食べきれない量だ。

しかもビュッフェで並べられているのは、スタンダードなインドネシア料理で、基本的にグルテンフリー。もともとインドネシアは熱帯で、小麦は育たないので、小麦が含まれている(私が食べられない)地元の料理というのはほとんどない。ほとんどは私も普通に食べられる料理が並んでいるのに、なぜわざわざ特別食を用意する必要があるのか?

さらには、用意されたグルテンフリー特別食には、マカロニ料理があった。グルテンフリーのマカロニだろうが、こちらとしては見た目小麦かそうでないか見分けがつかないものは危なっかしくて食べられない。(食物アレルギー人間の本音参照。)結局マカロニ料理には手をつけず、他のものも大量に残すことになってしまった。

しかし、これはまだ序の口だった。次はその日のディナー、全員参加の歓談の席でのことだ。そのディナーでは、あらかじめ3種類のコースから選べるようになっていた。私は小麦が入っていないはずのインドネシア料理のコースを選んで、それが出てくるものだとばかり思っていたのだが・・・。他の誰よりも早く私のところに運ばれてきたのはやはり特別食。頼んだメニューではない。前菜、メイン、デザートと運ばれてくるのではなく、私にだけは最初に全部運ばれてきた。

「グルテンフリーサラダです。」(味付けのないマカロニサラダ。グルテンフリーのマカロニなのだろうが、なぜマカロニをわざわざ加える必要があるのでしょう?他の人のサラダは普通のドレッシングのかかったグリーンサラダだったのに。)

「グルテンフリーチキンです。」(味付けのない蒸し鶏。3人前はありそうだった。インドネシアの鶏料理で小麦の使ったものなんて見たことないんですけど?せめてソースつけてください。)

「グルテンフリーライスです。」(そもそも小麦グルテンを使ったご飯ってあるんですか?それは麦ご飯と呼びます。しかも他の人は普通の白ご飯なのに、なぜ私の「グルテンフリーライス」とやらは褐色なのでしょう?サフランライスにも見えないし。)

「デザートのグルテンフリーフルーツです」(だからそのグルテンフリーが意味不明です)

これは一体何のジョークか嫌がらせ?私が頼んだはずのナシ・チャンプル(インドネシアの盛り合わせ料理)は一体どこ?今まで色々なところで少なくとも100回以上はナシ・チャンプル食べてきたけれど、問題があったことなど一度もない。なのに、私はこの味のない特別食しか食べなくてはいけないのでしょうか?

ねえ、ホテルさん、知っていますか?塩にグルテンは含まれていません。だから鶏に塩味くらい加えてくれてもよかったんじゃないですかねえ。焼き鳥だって、アヤン・バカル(インドネシア風鶏の照り焼き)だって、普通に食べられますよ。ケンタッキーフライドチキンは遠慮しますけどね。

ドレッシングだってグルテンが含まれているのなんてほとんどありません。だからサラダにドレッシングかけてくれても悪くはないと思いますが。さらに意味不明なのはこのマカロニ。いくらグルテンフリーだろうとわかっていても、申し訳ありませんが残させていただきます。

「特別食なんて用意してくれなくていいです。ただ、どれに小麦が含まれているかだけ教えてください。それも無理なら別にいいです。自分で食べられるものは判断しますので。」と言ったのだが、無駄だった。ウエイターに何を言っても、バリ人特有の最強の笑顔で、はい、はい、というだけで埒が明かない。暖簾に腕押しだ。結局、特別食はそのホテルにいた3日間続いた。

ビュッフェ形式のランチなら、特別食が来る前にとりあえず早く食べ物を取ってしまう「あーらごめんなさい、もう取っちゃいました」作戦ができるかとも思ったが、無理だった。食事時にまず真っ先に私の特別食が運ばれてくるのである。しかも、毎食かならず含まれているのはグルテンフリーパスタ。周りでパスタを食べている人はいなかったので、周りがパスタだから、という理由ではない。

結局3日間、私は特別食を用意され、メインのグルテンフリーパスタ以外のものを食べ、多くの食べ物を残し、食べ物とホテル側の配慮を無駄にすることとなった。しかし、楽しみなはずの食事をこんなに苦痛に感じるとは。これは一種のいじめです。

アレルギーということで、作るほうに神経を使わせてしまっているのは申し訳ないと思っている。でも、多分、ホテル側はグルテンが何だかきっとわかってないんだろうな、と思う。グルテンは、小麦に含まれているのだということをしらない。小麦がどんなところに使われているのか知らない。だから、何をどうしたらグルテン除去食になるのかがわからない。とりあえずグルテンフリーのパスタには「グルテンフリー」と堂々と書いてある、だから安全だろう。でも、他の食品、例えば米、野菜、肉、調味料などには特別「グルテンフリー」なんて表示していない、だから使ったら問題あるかもしれない・・・多分そんな認識。

いつだったか、飛行機の機内食でグルテンフリーを頼んだため、アイスクリームがりんご(丸ごと。皮をむいたものではない)に化けたことがあった。そのくせ、おやつには他の人とは違うグルテンフリーマフィンがでてきた。楽しみにしていたハーゲンダッツのカップアイスがお預けになり、「ちょっと待って!バニラアイスクリームのどこに小麦が使われているっていうんですか!」と抗議したかったが、多分あれも似たような理由なのではないだろうか。グルテンフリーとわざわざ書いてあるものは安全、でもその他のものは怪しきは疑うべし、という方針なのではないだろうか。

特別食を用意するより、ただ、アレルゲンを表示してくれれば、または教えてくれればそれでいい。あとは自分の責任で勝手に選んで食べるから。一人だけ特別扱い、しかも味のない食事2,3人前なんてお願いだから勘弁してほしい。

とりあえず、イベントが終わってほっとしている。もう誰にも気兼ねをせず、自分で好きに食べるものを選べる。この自由のなんとありがたいことか。

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