2014年1月6日月曜日

いろいろな新年



あけましておめでとうございます!
今年もどうぞよろしくお願いします。・・・と言っても家族以外にリピーターがいるのかどうかも謎なブログですが。

さて、新年。年末・年始の長い休みを経て、再びバリへと戻ってきた。インドネシアでは日本のような三が日のお祝いもなく、11日が休みなだけで12日からは通常の業務に戻る。至ってあっさりしたものだ。アメリカでもそうだった。クリスマスにかけて、年末は専らお祭りモードだが、新年が明けるとすぐに通常ペースに戻る。

しかし、インドネシアも含め、外国には西暦以外の伝統的な暦の新年もあり、そちらの新年のほうを盛大に祝うというところも多い。インドネシアでも、イスラム暦の新年は休日となる。こちらで一番盛大な行事はラマダン(断食月)明けのイドゥル・フィトゥリで、それに次いで大きな休みとなっている。イスラム暦は一年が365日よりも多少短いので、毎年休みが前年度よりも早く来る。それで得した気分になるのは私だけだろうか。

イスラム大国、インドネシアの中でヒンズー教を固守するバリにも固有のヒンズー暦がある。しかし、バリに関しては新年よりも大晦日のほうが有名だったりする。バリ暦の大晦日(ニュピ)は厳格な沈黙の日、瞑想の日であり、音を出すことは全て厳禁、観光客といえども外を出歩いてはならず、空港もレストランもすべてストップする。働いているのは、外を出歩いたり夜に電気を使ったりする不届き者を取り締まる警察ぐらいのものだ。

なぜこんな習慣があるかという理由が面白い。日本では大晦日が大掃除の日だが、同じくバリでも大晦日には地獄の神様が地獄の大掃除をする日だと信じられている。そのため、大掃除から逃げてきた地獄の悪霊たちがバリにやってくるのだそうだ。悪霊から隠れ、災難を避けるため、バリの人々は物音ひとつたてず、瞑想にふける。そして新年を迎えるのだ。

今年のニュピは331日らしい。ニュピの前日、手作りの悪霊の山車を引いて街中を練り歩く行事は面白いのだが、信心のない私のような外国人にはニュピはとてつもなく面倒くさい。だからいつも適当に海外出張を予定し、この日はバリにできるだけいないようにしている。

多文化のインドネシアでもうひとつ重要な新年が中国の旧正月だ。インドネシアには華僑が多くいる。インドネシアの経済の中心を担っている華僑も多い。今年の中国の旧正月は131日、もうすぐだ。

インドネシアの中国の旧正月の祝いはそれほどでもないが、本場中国でのお祝いは盛大だ。日本の正月の比ではない。「春節」と一般的に呼ばれる旧暦の新年前後は、地方にもよるが12ヶ月も休みとなる。仕事で中国に行く予定を立てるのに、旧正月を2ヶ月過ぎてもまだ職員が帰ってきてないので無理です、と断られたことがあり、本当にそんなに長い間祝うのか、単に断る口実が欲しいだけではないのか・・・と、少々疑心暗鬼になってしまったぐらいである。

中国の旧正月は中国と同様、陰暦を用いていた韓国、ベトナム、マレーシア、シンガポールなどでも形式の違いはあれ、盛大に祝われている。タイやラオスにも別に伝統的な暦に基づいた新年がある。日本も地方によっては未だに陰暦で行事を行うところもある(仙台の七夕など)。しかし、一般的には西暦で、陰暦のカレンダーなど気にしているところは少ないだろう。

日本では、陰暦から西暦に移行したときに、多くの行事もそっくりそのまま移動した。陰暦の正月にやっていたことを西暦の新年にやる。桃の節句も端午の節句も七夕も、陰暦は忘れて、西暦の同じ日付の日に伝統の行事をやることにした。アジアの他の国も西暦は取り入れたが、こんな伝統と実用の暦との折り合いのつけ方をしたのは日本だけである。前に、「日本は旧正月は祝わないの?」という質問をされたときに、これを説明したら、「日本って変なことするのね」と言われた。確かに他の国を見ると、特殊かもしれない。

日本は昔から、他国のものを取り入れ、自国のものにブレンドして発展してきた。その器用さが、伝統文化を新しい暦で続ける、というある意味斬新なやり方に現れているのかもしれない。

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