2013年3月3日日曜日

派手なインドネシア



インドネシア人は派手だ。特に日本のよく言えば繊細な、悪く言えば地味なファッション感覚に慣れた目には、インドネシアの色彩は目にまぶしい。インドネシアの人々は本当に色とりどりの服を着る。しかも薄いパステルカラーではなく、原色に近い鮮やかな色が多い。もちろん、女性のほうが男性よりもそれは顕著だが、男性だって赤、黄色、オレンジと当たり前のように着る。日本でならどぎつく見えるその色も、不思議と熱帯の強烈な光には良く合う。反対に、こちらで日本の微妙な、繊細な色合いの服を着ると、どうしても霞んで見えてしまうのだ。

今まで行った国の中で、一番服装の色彩が鮮やかだったのは、インドだった。インドの女性たちは今でも民族衣装のサリーを着ているが、その独特な装いもさることながら、色もとりどりで、見ているだけでも楽しくなる。そのほとんどははっきりした色合いで、ピンクでも、日本の女性が好むような、淡いピンク、あるいは少しくすんだ色のピンクはほとんど見られない。やさしい薄紫や淡い若草色やクリーム色などはほとんど見なかった。

インドの人々は、淡い色が嫌いなのだろうか、と思った。しかしすぐに謎は解けた。インドは概して日差しが強く、そしてひどく埃っぽい。だからどんな服でも、すぐ色があせて、埃っぽい色になってしまうのだ。逆に言えば、薄い色は、最初から色あせて見える。くすんだやさしいピンクや、ベージュ、スモーキーブルーなどはまさにそんな、色あせて埃にまみれてしまったような色だ。だから、そんな色を着ていても全然おしゃれには見えない。むしろ、はっきりした色のほうが余程おしゃれで、垢抜けて見える。

私がいるバリは、インドほど埃っぽくはないが、日差しが強烈なのは、インド以上だ。この風土にあう色は、やはりやさしい桜色ではなく、ハイビスカスの真紅であったり、ブーゲンビリアのショッキングピンクだったりする。ここで日本のわびさびの文化をもってきても、やわらかい春のパステルカラーをもってきても、すべては色褪せてみえる。さらにベージュやカーキ、落ち着いた黄色など、秋に流行するアースカラーは、土臭い、野暮ったい色にしかみえない。

時々、日本に帰ってショッピングに行くと、さすがに日本のものは質がよく、デザインもしゃれていてうれしい。しかし、これをインドネシアで着るとどうか、といつも考えてしまう。この色彩の感覚の違いをどう説明すればいいのだろうか。東京のおしゃれなカフェに着て行きたいようなお洒落な色も、こちらでは色褪せた野暮ったい色にしか見えないのだと。

インドネシアの庶民的スーパーマーケット。衣料品売り場には鮮やかな色の服があふれている。

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