宮部みゆきの短編集。7作のうちの半分くらいは、だいぶ昔にあったシリーズドラマ、「世にも奇妙な物語」に出てきそうなミステリー、サスペンス系だった。暇つぶしにはなかなかいいだろう。
一番好きだったのは、表題作「地下街の雨」。思いやりからのこういう罠なら、仕掛けられても、はまっても悪くない。「決して見えない」は夜に読んでいて背筋がぞっと寒くなった。「混線」「勝ち逃げ」では、ミステリーの中に少しおかしみも感じられる。「さよなら、キリハラさん」では、少々ラストがすっきりしなかったのだが、私の読解力不足だろうか。
しかし、15年ほど前に出版された本だが、多少今との時代の差を感じないこともない。「こんなの、携帯使ったらいいじゃない」と思うところが少なくなかった。15年前というと、ポケベル全盛期だっただろうか。どちらにせよ、携帯電話はそんなに普及していなかったのだ。現代では時の流れが速くて、何もかも、あっという間に時代遅れになってしまう。この短編集の内容とはまったく関係ないが、そんなことを感じてしまった。
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