2013年2月18日月曜日

The Alchemist (Paulo Coelho)


国際的ベストセラーになった、この本。私の友人も絶賛する、大人のための御伽噺である。とても哲学的だ。パウロ・コエーリョの小説はこれで2冊目だが、きっと作者はとても信心深い人間なのだろう。前に読んだ”The Devil and Miss Pryme”では天使や悪魔が実在のものとして出てきたし、この話もかなり精神的だ。精神的なことを話すことに慣れていない現代人には、少々うんざりするほどに。

テーマとなっているのは、夢を信じること、そして信念をもち続けること。しかし、私はピュアな心を失ってしまったのか、どうも入っていけなかった。実際に信念を通し、何事かを成し遂げるようなノン・フィクションは大好きなのだが、この話のような大人の御伽噺は、残念ながら、説教するための作り話、としか思えないのだ。超常的な描写―例えば主人公が風と話したりする場面―を読むだけで白けてしまうのでは、子供の頃の純粋さを失ってしまったということなのだろうか。それでも、この物語のあちらこちらにちりばめられている人生の金言は読む価値がある。特に、夢を追い求めて旅を続けるか、将来を誓い合った女性のために砂漠に残るか、葛藤する主人公のサンティアゴに錬金術師が諭す言葉は印象的だ。

これは、もしかしたら、夢をもてない時、信念を失いそうになったときに読む本なのかもしれない。そんな時なら、この本のメッセージに素直に耳を傾けられるかもしれないから。そんなときのために、とりあえずこの本はとっておこうかと思う。

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