2013年1月25日金曜日

美丘(石田衣良)


不治の病に冒された少女との悲恋というのは、昔からの王道だ。これもその1つで、陳腐、という言葉は使いたくないが、あまりにも使い古されたテーマのため、私は読む前から多少白けてしまったいた。ただ多少現代的なのは、その不治の病に侵された少女があまりか弱い、たおやかな美少女ではなく、やたらと気が強く、彼氏とセックスをやりまくることだろう。これが感受性の強い、10代の時に読んだのだったなら素直に涙を流してしまったかもしれないが、お涙ちょうだい的なありきたりのエンディングにやたらと白けてしまったのはわたしだけだろうか。また、どうしても現実的なわたしとしては、自分の胸を美丘の墓標にすべく刺青をほった太一に「ちょっとあんた、人生は長いんだから。そんなことして、絶対後で後悔するよ」と言いたくなってしまうのである。

0 件のコメント:

コメントを投稿