2013年1月24日木曜日

The Boy Who Harnessed the Wind (William Kamkwamba and Bryan Mealer)


アフリカで国際開発に携わる友人に勧められて読んだこの本。経済的理由で学校に行けなくなった少年が自力で風力発電機をつくるという、実際にあった話だ。これは、奨学金を手に入れ、現在は南アフリカで勉強する本人が、記者の助けを借りて書いた本である。

舞台はアフリカ、マラウィ。呪術が実際のものとして人々の生活に浸透しているお国柄である。主人公および作者のウィリアムは科学者を夢見ていたが、実家は貧しい農家で、学業を断念することを余儀なくされる。時は2002年、飢餓がマラウィを襲う。一日一食のぎりぎりの生活の中、ウィリアムは図書館で科学の本を発見、それを頼りに、自転車の発電機を使った風車の設計を始める。工夫を凝らした手作りの風力発電は噂を呼び、彼は特別に学校に受け入れてもらえることになる。そして今、彼は科学者を目指し、学業に励んでいるはずだ。もう既に科学者として活躍しているかもしれない。

裸一貫から始まった、サクセスストーリー。こうした話を聞くたびに、勇気づけられる。しかしこの話の中で一番私が驚いたのは、彼の身近なところに図書館があったということである。もうインドネシアに住んで4年にもなる私だが、この国には図書館、いや本自体が本当に少ない。ある程度大きな街であっても図書館はおろか、まともな本屋さえないところも多い。新聞や雑誌を売る小さな店はともかくとして、だ。

いくら彼がクリエイティブで不屈の精神の持ち主であっても、このサクセスストーリーは図書館なしにはありえなかっただろう。そう考えると、図書館の偉大さ、ありがたみが改めてわかると同時に、もっと発展途上国に図書館を普及できれば、と思う。

正直言って文章はあまりうまくないが、読みやすいことは確かだ。本人が実際書いたのをあまり変えないようにしたのかもしれない。難しい単語は全くと言っていいほどでてこないので、英語初級者にはおすすめだ。

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